2011年9月16日に、
岩手県宮古市の浄土ヶ浜に行った時のエッセイです。
(この記事は、昨年の10月に自分のブログにまとめたものです。
この記事に登場するマリンハウスの男性が、
今、JR東日本のCMに出ています。
再度、応援するために再投稿しました)
岩手県宮古市は、今年3月に起きた東日本大震災の時に、
39.7mという高さの津波をうけた街です。
これまで、国内の津波の高さの最高は、
38.2m(岩手県大船渡市)でしたが、
今回の震災の宮古の津波は、国内の最高の高さとなりました。
この岩手県宮古市には「浄土ヶ浜」という
美しいエメラルドグリーンの海岸があります。
限りなく透明に近い奇麗な海と、
鋭く尖った白い流紋岩と緑色の松。
それはそれは美しい景観です。
宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖が、
「さながら極楽浄土のごとし」と
感嘆したことから名付けられたと言われているそうで、
「日本の快水浴場百選」に選定された浜です。
高台の公道から、急な坂をおりると
浄土ヶ浜にたどり着きます。

そこには、浄土ヶ浜クルーズができるマリンハウスがありました。
浄土ヶ浜では、小型のボートにのって、
美しい海をクルーズでき、青く光る「青の洞窟」
を見る事ができます。
せっかくなので、この浄土ヶ浜クルーズを体験してみました。
そこで、ボートを運転してくれ、
浄土ヶ浜案内をしてくれた男性が
クルーズの間、津波の時の話をしてくれました。
津波の時は、ほんとうにひどかったそうです。
いつもは青く輝く海が、
津波の前に海底がみえるまで引いて
それはそれは恐ろしい光景だったそうです。
もちろん、マリンハウスは完全に水につかり
ほとんどのボートも流されました。
私が乗ったボートも一度は沈んでいたのですが
引き上げてなんとかエンジンを修理したとの事でした。
「私は、家も妻も津波に流されました。
今も、仮設住宅から通っているんですよ。
でも、海や海岸は、何一つ変わってない。
壊れたのは人間が作ったものばかり。
自然は強いんですよ。」
と、それはそれはニコニコとやさしい笑顔で
ゆっくり語ってくれるのです。
私は、胸が熱くなり、涙がでそうでした。
海とともに日々を生き、
海とともに未来を作ってきた、被災地の方々。
一つも海を恨まず、
自分の運命と懸命に戦い、
新しい未来を築こうとしています。
いえ、
悲劇の日からここにくるまで
どれだけ胸を痛め、どれだけ涙したことでしょう。
今だって、仮設住宅に帰り、
夜の晩酌をするたびに涙があふれる事もあるに違いありません。
そんな胸の痛みを飲み込みながら
前を向こうとしている被災地の方々を
心の底から応援したいと思い、浄土ヶ浜を後にしました。
是非、みなさん。
浄土ヶ浜に観光にいってください。
被災したマリンハウスのベニア板の壁には
全国から訪れた方々が書いた、
たくさんの「がんばろう」のメッセージが埋まっています。
●浄土が浜マリンハウス http://www.j-marine.com/