山形で生まれ育ったわたしは、子供の頃、よく柿の木に登って遊んだ。
家の庭に1本、裏庭に2本。
山形の実家には、普通に柿の木があったのだ。
柿の木というのは、実はもろく、木登りには不向きだった。
親に、「柿の木」は弱い木だから登ると折れやすく危ないとよく叱られた。
しかも、登る時に、木の皮がボロボロむけて、目にはいって痛い。できるだけ目に入らないように気をつけながら登るのだ。
それでも、比較的背丈の低い柿の木は、こどもの私たちには登りやすく、叱られないようにこっそり登っていた。
そして、秋になると、たわわに実った柿を収穫し、おばあちゃんが焼酎につけてシブを抜いてくれる。山形の柿は基本的に渋柿で、焼酎につけてシブが抜けた頃に味わうのが主流。そして、柿の真ん中には種もない。甘くて風味の良い渋柿は、わたしにとっては、田舎の秋の味だ。
先日、東北のボランティア活動で知り合った女性から柿が届いた。
それは、福島県会津地方名産の「みしらず柿」というもの。ツルツルとした美しいオレンジ色に、故郷の山形を思い出した。
会津の「みしらず柿」も私が子供の頃に食べていた柿と同じ製法でシブを抜かれた渋柿だ。昔ながらの方法で、35℃の焼酎で渋抜きされている。
しかも、送っていただいたものは、低農薬・有機栽培。
毎年、皇室へ献上していると言われる程の上質な柿で、「御山柿」とも呼ばれているのが、会津の「みしらず柿」だそうだ。
秋の味覚の代表格である柿は、とても栄養価が高いと知っている。
柿の糖度は16〜20℃。
ビタミンCがみかんの2〜3倍。
カリウム、食物繊維、カロチン、ポリフェノール、タンニンなども豊富で、生活習慣病の予防や、老化防止にも一役買うと言われている。
届いてから2〜3日日光にあて、少しやわらかくなってきたので、皮を向いて食べてみた。
ものすごく久しぶりに、子供の頃たべた美味しい柿を思い出した。
スーパーで買う柿は、あまりおいしいものがなく、最近はフルーツはスーパーではなく、地方に行った時に直売所で買うことが多い。この秋のタイミングに、昔ながらの、こんな美味しい柿を食べたのは、何年ぶりだろうか?と思った。
身はやわらかく、甘さもほんのり。
独特な香りが、口の中いっぱいに広がる。
思わず、おばあちゃんの渋柿を思い出す。
もうすぐ、庭に干し柿が吊るされる季節。
こんな、暖かな気持ちに包まれた、会津「みしらず柿」。
星柿園
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