映画レビュー:天使の分け前(THE ANGELS’ SHARE)




本当にしょーもない。でも、ホンワカ。
スコッチ・ウイスキーの故郷スコットランドを舞台に、もめ事ばかり起こしてきた若者がウイスキー作りを通じて師や仲間と出会い、自らの手で人生を再生していくさまを描く。第65回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。ウイスキーは熟成していく過程で、毎年2%ほど蒸発して失われていく。それを「天使の分け前」(THE ANGELS’ SHARE)と呼ぶんだそうだ。映画の内容とタイトルが絶妙に素晴らしい。まさに、若いしょーもない若者たちが、彼ららしいやり方で脱皮していく物語。主人公のロビーの雰囲気がとてもよかった。物語のテーマを十分に表現できるキャストとその役作りは、監督のセンスそのものなんだろう。暴力とか盗みとか、素行の悪い若者たちが社会貢献作業で偶然出会い、つるんでいくが、特にベタベタすることもなく、なのに、なんとなく上手くつながっている感じがすごくクールだった。ベタベタのメロドラマだったら、押し付けがましく感動の仲間愛みたいに仕上げるんだろうが、そんな事もなく、彼らの中には「なんとなく」というドライな空気が漂っていて、すこぶる自然。素行の悪い彼らには、就職先も無く、お金をかせぐ方法もしらない。粗悪な輩が狙ってくる。でも、しょーもない彼らがしょーもない自分たちのやり方で、それを突破していく姿は、「ほんと、しょーもないな」と思いながらも、なんだかホンワカして、温かい余韻を残す映画だと思った。