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【映画レビュー】北野武監督作品の映画〜KITANO BLUEと言われる理由〜

北野映画に存在する愛と哀

久しぶりに北野武監督作品5作品を観なおした。ほとんどが、昔に一度観た作品だが、改めて観直すと新しい発見や新しい感情が湧き上がる。

最近、映画を観ていても、あまり爽快感が感じられない事が多い中、北野映画には、やはり感情を揺さぶられる何かがある。

北野映画の初期、5作品。
あの夏、いちばん静かな海。ソナチネ。キッズリターン。HANA-BI。菊次郎の夏。

それぞれ、内容やメインテーマは全く異なるものの、全ての作品に流れているものがある。

それは、愛(あい)と哀(あい)。両極端の二つの“あい”が、複雑に絡み合い、見る人の心に様々な陰影を落とす。

北野映画には、必ず残酷なまでの《痛み》がある。

でも、主人公達は、それらを心の奥底で隠しながら虚無感の中で生きている。

彼らは時々残酷で、冷徹だ。
嘘もつくし人を傷付ける。
なのに、どこか愛らしく愛おしい。
憎めないのだ。

一見、野蛮に見えても憎めない。
それは、きっと、人間なら誰もが持つ陰影だからだと思う。
人は誰も傷つけずには生きられない。
人は絶対嘘をつかずには生きられない。
それを、見るもの誰もが知っているからだ。

そんな人間の哀愁は、本当は、誰もが誰かに受け止めてほしいものであり、それを北野映画はそのまま分かりやすく投げ掛ける。

綺麗なものを綺麗に描くのはたやすい。
でも、一見、綺麗とはいえないものを描き切ることで、最終的には綺麗な心の情景を残せる映像ってすごいことだと思った。


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北野映画に存在しないもの

北野映画には2つ無い物があると思った。
それは舞台設定の説明と役者の喜怒哀楽。

それぞれのキャラクターの身の上や背景に対する説明がほとんどない。だけど、それを垣間見るカットが散りばめられている。決して、まっとうな人生を送っている者ばかりでなく、哀愁をおびたキャラだが、それが妙に生々しくリアルだ。身近に感じられない、感情移入しやすい。笑いも散りばめられているのも、主人公が愛らしく感じられる要因だ。

そしてもう一つの無いものは喜怒哀楽。

役者さんの表情にはあまり喜怒哀楽がない。

かといって無表情でもない。
いわば、《素》の状態だ。
演技してないので、《素》の表情が生々しい。


実際、私たちも、そんなに喜怒哀楽を表現していないだろう。1日の多くは、ゆるんだ無表情で過ごしている。だから、映画にわざとらしい演技なんて必要ないのだ。だからこそ、映画本編内での、表情を変えた一瞬のカットが効いてくるのだ。

こうして、改めて北野映画を堪能し、心が満たされた。

平凡な日常に、嘘と真実を使い分け、正義と非道に矛盾を感じながらもドラマチックに生きている。

今のわたしたちは、そんな存在。

こう、結びたくなる。

それが北野武監督の、“北野ブルー”のような気がした。


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北野武監督作品、映画5作品のレビュー

以下に、北野武監督作品のレビューをまとめたのでご参考ください。

あの夏、いちばん静かな海

ろうあの青年と少女の恋の物語。言葉が無い時、心と心がどんな風に繫がるかを見せつけられる。切ないけど、なぜか心が温まる。

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ソナチネ

ヤクザの哀愁と人生の深い溝を描く。ハチャメチャなのに愛すべきアニキと、コミカルな子分たち。ラストに向かえば向かうほど深くなる人間関係や、仲間を失った時の悲しみの表現方法が秀逸。

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HANA-BI

愛してるとは決して言葉で言わないのに、愛がこだまになって聞こえてくるような心理描写。どこまでも不器用だけど、深い愛の表現方法としては、誰にも表現できない、北野映画らしい作品。

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キッズリターン

青年のモラトリアムと冷酷なまでに生きづらい都会が舞台。青年達に擦り寄る危険な大人達。流されながらも、生きていく。その痛々しさが胸に染みる。ラストが秀逸。

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菊次郎の夏

子どもを遊んであげた夏なのか、子供に遊んでもらった夏なのか?母に会えない少年と母に愛されなかったおじさん。その孤独と癒され方は同じ。じんわり切なさと暖かさを感じる。

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