映画『パラサイト 半地下の家族』レビュー:嫌悪感と切なさのバランスが絶妙



とにかく、132分があっという間でした。

最初から最後まで、観ている人を飽きさせない矛盾のないシナリオに、正直、脱帽!

昨年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールをとってから、首を長くして待っていた日本公開。できるだけネタバレせずに鑑賞したかったので、作品の内容に関するものには触れずに、完全に事前知識なしで鑑賞しましたが、『なるほど、そういうことか』という感じでした。


そもそも、ここ数年のカンヌ国際映画祭のパルム・ドールは、『貧困』や『格差社会』を描いた作品ばかりです。
『ダニエル・ブレイク』しかり、『万引き家族』しかり….。

本作『パラサイト』も、それらに近いテーマだとはうっすら知っていたのと、そもそもカンヌで最高賞をとる作品は、社会派色が強いのでメッセージ色の強い地味な映画だろうと思い鑑賞しましたが、かなりイメージしたものと違った事に驚きました。

とにかく、シナリオのテンポが良く、観客を飽きさせないのが素晴らしい作品です。

ここまでくると、ほとんどエンタメ作品と言っても過言ではないでしょうか?
カンヌで最高賞をとった作品なのに、ここまでエンタメ感が強い事に驚きます。それでも、しっかりと社会派のメッセージが含まれているのも素晴らしい。ポン・ジュノ監督のセンスなのだろうなと思います。


映画の良さを大きく締めるのがシナリオです。

どんなにメッセージ色が強くても、シナリオがつまらなければ鑑賞後の満足度は下がります。
しかし、シナリオが重視されすぎると、リアリティが無いドラマになってしまい社会派メッセージが薄らぐ。

そういう意味では、本作はシナリオの小気味よさとエンターテイメント、そして物語全体に流れる社会派メッセージの重さたを消さない、絶妙なバランスが多くの人の心を揺らす至極の作品にしあがっているのだからポン・ジュノすごいのです。

特に前半は、ソウルの半地下に住む家族の「プラン」に、どうしても嫌悪感を感じてしまいました。自分勝手で自己中心的な家族の行動に、どうしてもイライラしてしまい、共感しきれない感情にさいなまれます。

しかし、物語が進み、様々な出来事が起こっていく毎に、いびつな社会構造の理不尽さへの切なさも感じてしまう展開に。
嫌悪感だけで終わってしまったら、きっとこの物語に走る本当のテーマの意味は見いだせなかった事でしょう。

実に、嫌悪感と切なさのバランスが絶妙で素晴らしい作品です。

映画を観る人の心理や感情を、完全にシミュレーションしたシナリオの立て付けになっているのだと思います。


誰かが極端に悪いわけでもなく、誰かのせいでもない。

それなのに、転がるように運命が展開していく家族たちと一緒に、この社会と時代に思いを巡らせてしまいました。

ここが、本作『パラサイト』の本質です。

特に、大雨の街のシーンがすごいなと思いました。どうやって撮影したのかな?
ポン・ジュノ監督の画づくりは、相変わらずさすがでした。

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