『井の中の蛙大海を知らず。』
という言葉があるように、
私達は、その中で暮らしていると[当たり前]という呪縛に縛られていることすら気づかない。
当たり前のように税金を払い、当たり前のように学校に行く、当たり前のように満員電車にゆられ、当たり前のように疲れた月曜日を迎える。
20代前半で仕事を始め、結婚、出産、子育て、ついには介護。特に女性は、自分の事よりも人生の大半を他人(家族)の事ばかり考えて過ごすのだ。
「なんでこんななの?」と愚痴はでても、「もっとこうだったらいい」「もっとこうならないか」と、考える余裕するすらないのが現実だ。
思い起こせば、私達が生まれた頃から日本社会は、懸命に働き家庭を切り盛りする献身的な日本人に頼り切った社会システムだ。
真面目で働き者。文句も言わずに、一連の人生を終えていく。ようやく最近では、「果たしてそれで良いのか?」と思い始める人が増えてきているようである。
現に、若年層は結婚や出産、子育て等を、ちょっと引いて遠いところから見ている。当たり前だろう。
少子化、少子化と叫ばれるようになってから何十年も経つが、出生率が伸びていく気配すらない。こんな若者が増えているのは、多様な視点で、自分の人生をとらえる人々が増えているのだと読んでも良いのかもしれない。
映画「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」
先日、映画「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」をNetflixで観賞した。2015年に公開された映画で、当時はとても話題になった作品であるが、お恥ずかしいことに、これまで観たことがなく初見であった。
ご存知の通り、本作はマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画である。しかしながら、ドキュメンタリー映画とはいえ、上手く編集されているのでドキュメンタリーくささが薄れていて、とても見やすい。比較的万人におすすめ。
マイケル・ムーア監督は、みなさんもご存知の通りリベラリストなので、本作品では、現在の米国社会を風刺しながら、世界各国の「よい所」を探しにいくことをテーマにしている。米国社会の風刺であるものの、実に、日本社会とも比較しても面白いので、日本人も十分興味深く鑑賞できる。
イタリアの働き方、ドイツの国家観、スェーデンの教育、ノルウェーの刑務所。すべてが、我々日本人にとっても、十分刺激をうける取材内容である。
日本にいると「当たり前」であることが、ヨーロッパの国々の人からみたら「どうして?CRAZY」という事になる。誰もが気にしなかった事が、次の日から違和感を感じるようになる、そんな刺激を与え考えるキッカケを作ってくれる題材なのである。
この映画から何かを得るとするならば、具体的な何かの答えでは無いだろう。
「これから、日本人として、どう生きていきたいか」
「どういう日本社会であれば幸せと感じるか」
こんな風に考えたくなる、スパイスのような働きをする映画であると思った。
最後に、アイスランドで初の民選女性大統領になったヴィグディス氏の言葉を書いておきたい。何かを動かすのは、人間一人一人の心である。そして考える力である。
考える事をやめない、挑戦することも止めない。私は、そんな社会で生きていたい。