心身共にハードな看護の仕事




東京新聞に看護師の職場環境のデータがのっていた。

看護師の平均年齢 37.7歳(医師:39.6歳/一般労働者:41.5歳)

平均勤続年数 7.4年(医師:5.2年/一般労働者:11.9年)
所定内実労働時間数 162時間(医師:165時間/一般労働者:166時間)
超過実労働時間数 7時間(医師:13時間/一般労働者:13時間)
平均年収 431万円(医師:1029万円/一般労働者:438万円)

2010年の看護職員 就業者 約147万人
資格があるのに働いていない人 約55万人
2010年度の離職率 11%

 

看護の仕事は肉体的にも精神的にもハード。

3交代や2交代性だから、勤務スタイルもまばらで身体の負担も大きく、いつも人の生き死に直面し精神的ストレスも大きい。

 

私は臨床を離れて随分経つが、夜勤の無い生活や人の生命に関わらない日常の仕事に、ある意味、心身共に穏やかさを感じている。一般職の日々を過ごしていると、どんなに辛くても看護の現場には戻れないと思うし、戻るのをかなり躊躇してしまうのが本音だ。

 

それでも、そんな看護の仕事も若い頃はいいだろう。
20代前半なら、多少睡眠がまちまちでも、すぐリカバーする。
でも、年齢を重ねれば重ねるほど、それは過酷で身体へのストレスは強い。

夜勤について言えば、10年前の2002年の頃は73%が3交代制であったのに対し、2011年には2交代制が3交代制をうわまり、現在は2交代制の方が多いそうだ。そして、2交代制の夜勤の拘束時間は87.7%が16時間以上だそうだ。

 

さらに、医療行為におけるいわゆる「ヒヤリ・ハット」
(※ヒヤリ・ハット:結果的に医療事故に至らなかったものの、一歩間違えれば事故になった危険なケース)

1ヶ月の内に1回〜5回以上あった人の割合は、3交代制では約26%2交代制では約40%と、2交代制が看護師の労働に大きく影響していることが分かっている。

 

相変わらず、病院関係者には耳の痛い話、いやデータである。



私は臨床にいた頃、3交代性だったので、2交代制のように長時間勤務は経験していないが、このヒヤリ、ハットは容易に想像できる。
現役時代を思い起こせば、深夜勤務の明け方の朝6〜7時代は眠気との勝負だった。

集中力もかけるし、ほんの少しの緊張感でなんとか仕事をこなし、日勤者を心待ちに待つ。
ある意味、ここがプロフェッショナルさの見せ場でもあった。

 

しかし、それだって、体調のすぐれない日は非常にきつい。
そんな疲れ果てた日々の繰り返しだったことを思い出される。

 

でも、看護には看護の素晴らしさがあるのは否定できない。

元気を取り戻す患者さんに励まされ、感謝しか無い世界は、看護者にしか分からない充足感を味わえる。

 

そういえば看護の世界から、一般の企業に転職した時に、少しだけ異次元に来たような感覚に見舞われた事を思い出す。
それまで、「ありがとう」しかなかった看護の世界と違い、普通にやって当たり前で予想以上の感動と価値を提供しなければ、簡単に「ありがとう」は得られない一般職に、違った意味の厳しさも感じたものだ。

 

そういう意味では、看護の世界は、聖域なのかもしれないと、思ったほどだ。

 

前述した、看護の職場環境の問題に戻るが、この労働環境問題や慢性的な人不足は今に始まった事ではない。昔からあった問題だ。素晴らしい職業である反面で、看護師の奉仕の精神でなんとか問題を先送りしているだけのように感じる。

 

私は入院したことがあるが、そこで改めて看護の仕事の問題点を感じた。
看護師は、患者さんのメンタルケアを出来る時間が圧倒的に少ないのだ。

 

看護師は、患者さんの一番近くで、専門知識を持つ専門家として、患者さんのメンタルケアや医師とのコーディネートを積極的にしてほしい。それは、患者さんの不安や悩みを軽くし、治癒や社会復帰を促進するはずだ。実に、患者の立場になったときに、こんなにも些細な事が不安で心配になり、夜眠れなくなるのか….と、愕然としたことを思いだす

 

あともう一つ、看護の現場ではIT化が遅れていると感じる。

もっと、臨床の実践にITを普及させ、看護師の仕事を軽く、そして効率的にできるではないかと思う。

私は、医療を離れたものだけれど、医療を知っているものとして、そう感じる。



 

看護師も医師も、その他コメディカルも、素晴らしい職業だ。それは、本当に揺るぎない評価である。

 

だからこそ、看護師には看護師にしかできないケアに時間をあてられる職場環境であってほしい。

誰よりも、それを、入院している患者さんが思っているに違いない。