人間は外部環境に合わせて生きている。
日本には春夏秋冬とはっきりとした四季があり、季節ごとに私たちの身体が微妙に変
化していることをご存じでしょうか?
元々人間の身体には、雨や風、直射日光など、
外から身体に影響を与えるもの(外部環境)の変化に応じて、
体内の環境(内部環境)を一定のバランスに保とうとする働きがあります。
たとえば、常に体温が36~37度を保てるのは、
身体の中で発生する熱量と身体の外に逃がす熱量を
同じにする仕組みがあるからです。
この仕組みとは、外部環境が変化したときに、
内部環境を一定に保つために、
意識的、無意識的に反応していることを言います。
気温の変化に合わせて衣服を脱ぎ着したり、
冷暖房の操作などを行うほか、発汗やホルモン分泌が促されるなどして、
内部環境を適応させます。
季節の変わり目に体調を崩す理由
人間は、夏の暑さや冬の寒さに次第に慣れていく機能を備え持っています。
これを「馴化:じゅんか」と呼びます。
たとえば、急に気温が上がって暑くなった場合、
体温が上がることで大量に汗をかきます。
そして、汗が蒸発する際に周囲の熱を奪い涼しく感じさせることで、
徐々に暑さに慣れていきます。
これは皮膚が外気温の変化をキャッチし、
脳に信号を送って、血管を拡張させて発汗を促すことで、
体温を保てるように指令を出しているからです。
逆に、寒さを感じたときは血管を収縮させて、
熱を体外に逃さないようにします。
一番熱が逃げやすい皮膚の表面の毛細血管が収縮することで、
身体の中心部の血流量が増加し、体幹部分(脳や内臓)が
きちんと動くために必要な熱が確保されます。
このようにして体内から外気温の変化に対応し、
寒さに慣れていきます。
これらの指令は、私たちが気づかない間に身体が反応しているものなのです。
しかし、暑さや寒さに慣れきらないうちに
急激な気温の変化が繰り返し起こると、
熱中症や風邪など、さまざまな健康障害が引き起こされます。
特に、ストレスを抱えていたり、食生活が乱れていると、
このような機能が低下しやすくなります。
たとえば、温度の変化に気づかないと、着衣を工夫したり、
冷暖房を入れるなど、自分で体温調節をすることが
遅れがちになってしまうので、
季節の変わり目では、より体調を崩しやすくなるのです。