先日、公開前から評価の高い映画『ザ・ウォーク:The Walk』を観に行ってきた。
3D上映で話題の本作だが、折角なので、シネコン“TOHO シネマズ”のMX 4Dで観ることに。MX 4Dとは正式名称、アトラクション型4Dシアター MediaMation MX4D™。具体的な内容は以下の通り。
映画のシーンに合わせて、客席のシートが前後、左右、上下に動くとともに、風、ミスト、香り、ストロボ、煙や振動など五感を刺激する11種の特殊効果が連動。通常のシアターでは決して味わえない「アトラクション型の映画鑑賞スタイル」を実現します。“MediaMation MX4D™の登場によって、映画は「観る」から「体感する」に変わります。(引用:TOHO シネマズ)
映画界は、これまでの2D映像から、より立体的に映像を浮き出す3D映像へと進化した。そして現在、音や振動などの五感を通じて映像を体感できる、4D体感映像へと進化を続けているのである。
MX 4Dでの上映可能な劇場は少なく、観られる劇場が限られているが、たまたま近くにあったので、今回はMX 4Dで観ることに。初めての体験で、すごく胸が高鳴った。
●料金:鑑賞料金+1,500円+3Dメガネ代 100円
MX 4Dのスクリーンは、それなりに大きく、座席は見たことも無いようなガッシリしたシートだった。普通のシートよりも座面が高く、足が宙に浮いてしまいそうなくらいに高い。でも座り心地は悪くなく、包まれた感じが心地よい。シートが大きいので、隣の席の人との距離が狭くなく、いい感じがする。
ちなみに、MX 4Dのスクリーンでは、膝の上に置ける荷物しか持ち込めない。床に置かなければならない程の大きな荷物は、事前にロッカーに預ける必要があるので注意が必要。また、身長 100cm以下の子供は鑑賞できない。

(画像引用:https://www.tohotheater.jp/service/mx4d.html)
平日の夕方ということもあったのか劇場はガラガラ。数えるくらいしか観客はいない。個人的には空いている劇場は嬉しいが、興行的に大丈夫か?という不安も。(笑)
上映前に、数秒間のMX 4Dのテスト映像らしきものが流れる。シートが動いて体に振動を感じ、顔に風が吹き付けられる。もちろん、3D眼鏡をかけているので映像は3Dだ。
ウォーミングアップとしては、なかなか楽しい体験だった。
予告編が終わり、いよいよ本編。『ザ・ウォーク』は、今はなき、NYのワールドトレードセンタービルのツインタワー間を、ワイヤーウォークしたワイヤー・ウォーカー(綱渡り師)の実話をベースにした物語。如何に、無謀な挑戦をしたのか、その挑戦はどんな意味があったのか、などを回顧録としてまとめたものだ。
前半は、彼が綱渡りを現実のものとするまでの物語を、MX 4Dの効果で体感していく。ラストの綱渡りシーンまでは、普通のヒューマン・ドラマなので、大きなアトラクション感は少ないが、これがジワリジワリと映画への没入感を高めていく。
カメラの動きと共に、スクリーンに吸い込まれる感じは、物語の中に入りやすくするし、よりリアリティを感じられるような印象を持った。主人公の横顔が近く感じて、その顔に触れられるような臨場感がある。場面に合わせて、雷風のライトの点滅、朝もやにみたてたスモーク、水しぶきなどの演出が、次々と飛び出し、観る側をボーッとさせない。そして、ラストの綱渡りシーン。観客は、一気に地上411メートルまでもっていかれる。地上から約411メートル空中での綱渡りは、究極の非日常の体験だ。実に、手に汗握るシーンを、全身で感じることができる。
すごく新しく、楽しい体験だった。
しかし、MX 4Dは思いの外疲れる。色んなシーンで、映画に入り込んでしまうため、普通の2Dの映画を観る時以上に、体に力が入るし3D効果は見づらさもあってグッタリした。思った以上に、座席がグラグラ動くし、スクリーンに入っていくような演出もあるので、体調がすぐれない時は避けたほうが良さそうだ。
今回の『ザ・ウォーク』は、ストーリーというよりも綱渡りシーンの臨場感と、エンターテイメント性の高い作品であったので、これはこれで良かったが、物語や世界観をじっくり味わいたい映画は、普通のフィルムの2D作品がいいかもしれないな、と思ったりもする。肉体的なストレスで、内容を深く味わう事がなかなか難しい。(ヽ´ω`)
ここまでくると、映画というよりもディズニーランドのアトラクションのような感じがするし、そういう風合いが合う映画とそうでない映画と、色々あるのだろうなと再認識した。
兎にも角にも、映画の楽しみ方が、少し広がったので気持ちは明るかった。色んな角度で、これからも映画を楽しみたい、そう実感した。
オフィシャルサイト http://www.thewalk-movie.jp/