『こっちとこっちのジャスミン茶は、やっぱりだいぶ違うんですか?』
唐突だったが、店主に尋ねると、すぐ手際よく、自分の背後に並ぶ金色の茶缶を幾つかとりだし私の前に並べてくれた。
週末に、中華街でランチしたあと、ジャスミン茶を買うために天仁茗茶にたちよってみた。

その時の話である。
あっさりした対応でも良かっただろうに、店主はすこぶる丁寧に対応してくれる。
『香りをかぐと、その違いが分かりますよ。』
そう店主に導かれ、大きな茶缶の口に鼻を近づけ、大きく香りを吸い込んでみる。
香しいその香りは、まるでアロマテラピーのようだ。
でも、2つ並んだ缶の中のジャスミン茶は、それぞれ香りが異なっている。
並んだ2つの茶缶のうち、より香りがよいと感じた方のジャスミン茶を100g包んでもらう。
『少しおまけしてくださいね。』
と、冗談交じりに店主にいうと、
店主はゆっくりと口元を緩めながら
『円安でね。つらいんですよ。これでも精一杯。笑』
と、こちらも冗談交じりに返してくれた。
それでも、ちょっとだけ多めにいれてくれた銀色の袋は、キラキラ光っていてそれだけで美味しそうだ。店内にはたくさんの観光客がお茶を選んでいる。
台湾の名店、天仁茗茶の日本フランチャイズ店は、やはり中国茶好きにはたまらないだろう。
中国人らしい店主は日本語もお上手で、お茶の飲み方や選び方を色々教えてくれるらしいので、ぜひ店主とコミュニケーションをとるとよいらしい。丁寧な店主に、ほんのりした優しさをいただいて、すごく嬉しかった。
天仁茗茶がある場所は、横浜中華街のメインストリートからちょっと離れている。
メインストリートの人混みとはちょっと違い、比較的静かな中華街で、ゆっくり中国茶を選べる所が良い所だ。
横浜中華街も、年々、その風景はかわっていく。
格安食べ放題のお店や、何とかチャンピオンの肉まんとか、小籠包の立ち食いとか….。
でも、横浜に住んでいるせいかどうなのかは分からないが、結局、昔からある歴史長いお店で食べることが多い。
横浜中華街は、昔から地元に根付いた中国人が地道に作ってきたと聞いたことがある。街の景観も、観光客への対応も、街の掃除まで、きちんとルールを決めてやっているそうだ。
現に、一時期、甘栗の押し売り販売が問題になっていた。執拗に観光客に、甘栗を売るのだ。
それが問題になってから、横浜中華街では、甘栗販売正規店というルールをつくり、そこから買うようにアナウンスしはじめた。それからは、甘栗の押し売り販売も少なくなり、だいぶ良くなった。
昔ながらのお店は、ちゃんと日本の風土に合わせ、日本人と近い感性で商売をしてるところが多いので、マスコミの情報に踊らされずに、古いお店でにも足を運ぶと面白いと思う。
さて、実際のジャスミン茶のお味はというと、、、、ほんとうに芳醇な香りが広がる、美味しいジャスミン茶だった。また、リピートして買おうと思う。
横浜中華街のジャスミンティーは、天仁茗茶で。
おすすめですよ。


◎天仁茗茶 横浜中華街店
神奈川県 横浜市中区 山下町 232