商談帰りの電車の中など、長い距離の電車移動の時には、できるだけスマフォは見ないようにしている。
電車内でスマフォばかりみていると、たいていろくな事がない。
乗り換えを間違えたり、降りる駅を間違えたり、終点についたのにずっと座ってスマフォみるから、そのまま折り返されてしまったり。(笑)すべて、自分の不注意からなのだが、移動ミスが多くなるのが常である。
よって、いつからか、電車内では極力スマフォはみずに、本を読んだりボーっとしたりすることが多い。
特に、商談明けは、脳も疲れているため、何もする気にならない。
音楽を聞きながら、人間ウォッチングをしたり、電車内の広告をみたり、妄想したりするのが日課である。
先日、熱い熱い商談後(笑)、いつものように音楽を聞きながらボーっと周りを見ていた。
すると、ポニーテールの女子高生が乗ってきて、私の目の前のシートに腰掛けた。
すっとした小さなお顔に、小さなニキビが初々しい、知的な表情の女子高生。ブレザーの制服もとても良く似合う。
彼女はシートに座るやいなや、スマフォをとりだし、パチパチ打ち始めた。
友達とLINEか何かしてるんだろう。その目は、スマフォをとらえて離さない。
時々、「ふ〜っ」と小さなため息がもれる。何か気に病む事を抱えているのだろうか?賢そうな表情は終始険しく、物憂げである。
そんな時、ふと、私の右横に立っている男子高校生が目に入った。
彼も、携帯ゲームで遊んでいるようだが、その目は、時折、その女子高生をチラチラと眺めている。指は、携帯から離れる事はないが、目線だけ時折、彼女をとらえるようだ。
その男子高校生も、とても可愛らしい。
この2人を主役にしたら、映画が1本できそうなくらいに爽やかで初々しい香りが漂う。
まるで、吉田恵輔監督の「机のなかみ」という映画に出てくる高校生のよう。思わず、そう思った。
(余談だが、「机のなかみ」の高校生の恋愛のキラキラ感はすさまじい。直視できないほどのキラキラ感が表現されているので、興味のある方はぜひ、見て欲しい。笑)
1駅、2駅、と電車は私たち3人を乗せて進んでいく。
(なぜか、女子高生、男子高生、私の3人。)
駅で停車するたびに、男子高校生の瞳は彼女をとらえる。
でも、女子高生は、全く気づいていない。
相変わらず、物憂げな表情と小さなため息が、彼女の手元のスマフォにふきかかる。
そうこうしている内に、ついに、女子高生が席を立ち、停車した駅のホームへと消えていった。
その電車を降りる姿を、男子高校生はずっと目で追っていた。
結局、2人の瞳は合うこと無く、ほんの一瞬の私のモヤモヤは幕を閉じたのであった。
瞳と瞳が合うというのは、ものすごい力をもっている。
ほんの一瞬通り過ぎた人であっても、気になって振り向いた時に瞳と瞳があうだけで、何かがつながる瞬間を感じる時がある。
反面、どんなに近くにいても、瞳が重ならない遠い距離感を感じる事もある。
それだけ、人間の瞳というものは、言葉以上の力をもっているのである。
そして、何かを始めたいとき、相手と心を通わせたいとき。
やはり、瞳と瞳を合わせる事から始めるに限る。
スマフォを通して、誰かとつながったり、心をかよわせる事もできる。
でも、相手がまぶしくて直視できないほどの瞳の輝きは、やはり、スマフォを通したそれとは明らかに異なる。
相手の顔を思い出すと、息苦しくなるほど切なさが襲い、よく顔が思い出せないほどの眩しさは、リアルな瞳を見つめた時にのみ起こる化学反応だ。
先日、電車内で遭遇した、可愛らしい高校生の2人も、一瞬でもいいから目が合えば良かったのにな。
と、すさまじい自分勝手な願望と妄想を見も知らぬ2人に求めてしまう私だった、、、、、。(笑)暇つぶしにもほどがある!というツッコミは無しで。(笑)