LINE公式アカウントに友だち追加お願いします

【ブログ】購入のマジック

天気の良かった週末。
みなとみらいエリアにある赤レンガ倉庫で、海風にあたりながら、春を満喫する。

ついこの間、お正月を迎えたかとおもいきや、とうにサクラの季節も過ぎ、もうすぐ新緑の季節を迎えるなんて….。
とうとう葉桜となったサクラの木はちょっとだけ寂しく、遅咲きの山桜の残り香だけが、名残惜しそうにまばらに咲いている。

赤レンガ倉庫から見る横浜港は、あからさまに観光客向けにキレイに整備されている。
とうぜんの事ながら、観光都市だからしょうが無い。
個人的には、荒れ放題だった古き姿の赤レンガ倉庫もノスタルジックで好きだった。
雑草だらけの汽車道をかき分けながら、時々眺めた昔の赤レンガ倉庫には、なんとも言えない哀愁があった。

それでも、“今の赤レンガ倉庫も悪くない”。
気持ち良い潮風は、そんな気持ちにさせてくれる。

そういえば、みなとみらい界隈には、いくつかのショッピングゾーンがある。

ファッション・雑貨が多く、ブラブラ見ているだけでも楽しいものだ。

しかし、ブラブラ歩いていても、結構、衝動買いなどせずに帰る事もシバシバ….。

もちろん、これらは、「買いたいものが無い」という事が主な理由だ。

いや、実際は、買いたいものは常にいくつかある。
しかし、そのほとんどが、ネットショップで買ってしまうため、実店舗での購入機会が少なくなってしまった、という説明が正確だろう。
今となっては、何か見つけても、「いいや、ネットで買うから」とつぶやいてしまう。

これは、私に限ったことではないだろう。
多くの人びとの購入ルートが、昔と違って大きく異なっているに違いない。

店舗としてお店を構えて物を売るのが難しい時代になったものだと感じる。
多くの「いいや、ネットで買うから」と闘っていかなければならない。

そして、それと闘うためには、ユーザーに対して『今買いたい。すぐ買いたい。ここで買いたい』という衝動的な欲求を生み出さなければならないのだから、本当に大変な事である。

そんなことを考えながら散策していると、突然、目の前で大道芸パフォーマンスが始まった。

バトンのようなものの先端に火をつけタイマツのようにして、ファイヤーパフォーマンスをするのだという。

パフォーマーである、その芸人さんは、とてもトークが上手く、そのへんのお笑い芸人さんよりも流暢に面白いトークを繰り広げる。
始まってすぐは、タバコをつかったマジックや、風船をつかったバルーンアートなど、小さな芸でじわじわと人を集めているようだ。

しきりに、「手元のマジックだから、見えづらいので中央に集まって下さい」と、お笑いを交えながら観客に伝える。

トークが面白いから、全くいやらしさは感じない。

時々、ブラックジョークや自虐ネタを織り交ぜながら、ひたすら客を中央に集めようとする。

マジックは、特に派手なものではなく、割りとオーソドックスなものなので、驚くようなパフォーマンスでは無いが、トークが面白いから飽きずに観ていられる。マジックが進むに連れ、観客もじわじわ集まり、終盤のファイヤーパフォーマンスへと向かっていった。

観客を笑いで引き付けながらも、メインのファイヤーパフォーマンスをじらしながら、観客を中央に集め、機が熟した所で、数分間のファイヤーパフォーマンス。
正味、5分くらいだろうか?あっという間に終わったが、最後のパフォーマンスは、なかなかの見応えだった。最後は、口の中にオイルのようなものを含み、それを吹いて大きな炎が燃え上がった。

そして、最も肝心なラスト。
ラストは、パフォーマンスではなく、観客の評価だろう。

芸人さんが帽子を持って、観客からのコインを待っている。

そうすると、自然と中央に集められた観客は、当然のように帽子の中にお金を投げ入れる。
私もお金を入れたが、その帽子はお札でいっぱいだった。
中には1万円も入れた人もいるようだ。

大道芸は何度も見ているが、こんなにお札だらけの評価をもらう芸人さんもめずらしいと思う。

たしかに、パフォーマンスは面白かった。

しかし、こんな風に、沢山のお金が集まったのは、序盤からラストにかけての客引きの一連の動作に他ならない。目の前で、こんなにじっくり見せてもらって、お金をいれずに、「はい、お疲れ様」という訳にはいかない。しかも、小銭をチャリンチャリンというわけにもいかない。多くの人が、お札を入れていったのだろう。

ラストのファイヤーパフォーマンスまでは、地味な小さなマジックと、軽快で笑えるトークで時間をつなぎ、じわじわと観客を集め、ラストで一気に「買わせる」テクニックは、計算と経験で綿密に練られたパフォーマンスだと思った。

30〜40分くらいの大道芸だったが、そこに、「買わせる」エッセンスを学ばせていただいた!という感じである。

モノがあふれ、モノを購入するルートも大きく変化している時代。

「今、買いたい。」

「ここで、買いたい。」

「どうしても、買いたい。」

と思わせる、戦略と工夫が大切な時代なのである。

Translate »