直感で恋をし、分析で愛を深める、茂木健一郎著(2009)『脳は0.1秒で恋をする』




 

『直感で恋をし、分析で愛を深める』

この小見出しが目に入り、私は、すぐこの本を買った。
茂木健一郎さんの「脳は0.1秒で恋をする」(PHP出版)。

茂木さんの分かりやすい脳科学の本は大好きで、何冊かもっているが、「恋」という視点でかかれたこの本もとても興味深いと思い、すぐ購入した。

 

まさに、この私の行動こそが、この本の第一章にかかれた脳のシステムだ。

 

脳は主に、「扁桃体」を中心とする情動系と、理性的な判断をつかさどる「大脳皮質」の二つの情報処理経路で情報を処理している。

 

「扁桃体」は、“これは好き、嫌い”という直感的な働きであり、目の前で起こったことを、頭の中で言語化して整理する前にものすごい速さで結論を出して行動に移す脳の働きだそうだ。

これがいわゆる「恋」の始まり。

 

その後、ゆっくりと「大脳皮質」により、好きな理由が意味づけされる作業に移る。

 

「あの人の声が好き」とか、「笑顔が好き」とか、相手に好意を持っている理由は、「大脳皮質」により後付けされた理由であり、何よりも先に、「扁桃体」が「好き・嫌い」をジャッジしているのだ。

 

しかも、この2段階の「好き」という脳の働きは人類の進化に関係があるのだという。



目の前の危機をいち早くキャッチし、安全に生きていくための「扁桃体」。その危機をきちんと整理・分析して安全に生きていくための「大脳皮質」。といった具合に、私達が生きていくための情報処理機能なのだ。

つまり、この2段階の恋するシステムがあることにより、最初は「いいなぁ」と感じても、その後、具体的な情報を仕入れる中で、「ちょっと違う」と感じると、それ以上、深い愛には発展しないということだ。

 

本当におもしろい。

 

この脳のシステムを知ることにより、人間の「好き」「嫌い」をもってして、様々なアプローチに応用できるのでは無いか?と思ったりした。

 

「恋」だけに限らず、ビジネスアプローチにおける対人関係や、信頼関係の構築などに、応用することができるかもしれない。

 

「対人関係は第一印象が鍵」と言われるのは、この脳のシステムに起因するものであることが言えるのだろう。

 

私達は、日常的に様々な人と出会い、色んな形で人間関係を構築して社会に生きている。

「何となく」感じている人への印象や、
「何となく」与えている自分の印象を、

こうして脳科学の視点から見つめることで、新しい価値を見いだすことができるように感じさせてくれた茂木さんの本だった。

 

そういえば、この本の冒頭にこんな事が書いてあった。



この世の中には、「出会った誰もが恋するような人」がいて、
それは、最高の自然さをまとっている人だという。それまで生きてきた過程で、悲しいことやがむしゃらで努力したこと、悩んだ事などの様々な経験を積み重ねたことで、「今の全てが平安のうちにあり、穏やかに心を解きほぐせている人」

だそうだ。
この状態が最も美しく、「誰もが恋する人」だと書いてあった。
これは、本当によく分かるような気がする。

 

そして、こんな雰囲気を醸し出せるような「人」として
生きていきたいものだ….と、深く、深くうなづいてしまう。

※参考:茂木健一郎(2009)『脳は0.1秒で恋をする』PHP出版 246pp.
http://bit.ly/hcQH48(2010/12/30 ACCESS)